オフィスチェアのサイズと動線について

 オフィスの動線計画を行う際は、メインとなる動線を確保しつつ、余分な動線を生まないようにデスクを配置して、効率よく空間を配分します。一般的に、人ひとりが支障なく通れる幅としては60cmが想定されています。ちなみに120㎝あれば人ふたりが支障なく行き違えられるとされます。



 さて、デスクを標準的な対向式に配置した場合、人が通る動線とデスクで執務する人の作業動線とが接する事になります。作業動線には机に向かって前後方向に45㎝が必要といわれています。机に向かって前後方向というのは、つまり人が通る動線の横幅方向と同じです。



 ここで注意したいのは、オフィスチェアは意外に大きいものであるという点です。着座しているとあまり意識しませんが、背面から後ろ方向にボリュームがあります。特に、高機能なオフィスチェアにその傾向が目立つようです。大まかにいって、定価10万円未満のオフィスチェアなら前後方向(奥行)サイズは55㎝前後、定価10万円以上なら65㎝前後が目安になります(ただし脚部を除く)。



 体を深くデスクに入れる座り方をすればある程度に動線を空ける事はできますが、これにも限界があります。デスクを配置する時点で、ゆとりをもって動線が取る事が望ましいといえるでしょう。



オフィスチェアのサイズと目線について

 執務姿勢、つまり着座姿勢によって、最低限必要となる背面のサイズ(背面の高さ)が変わります。千葉大学・小原研究室によると、やや前傾の姿勢での集中的な作業や一般的な事務作業であれば背面高さは31㎝あればよく、長時間のPC作業などに適したやや後傾の姿勢では40㎝が必要とされています。市場に流通しているオフィスチェアの背面高さは50㎝前後が大半で、小さいものでも40㎝前後、大きいもので60㎝以上になります。背面高さの点では、市場に流通しているオフィスチェアであれば、基本的な執務姿勢がサポートされているといえるでしょう。

 

 オフィスチェアのサイズが執務姿勢に及ぼす影響を考えてみると、目線の角度や高さも無視できません。執務時の人間の視野は仰角25°から俯角35°まで、自然な目線は俯角15°であるといわれています。PCのモニターを見る目線は、やや下げ目線で見ているのが望ましい事になります。これは、少し目線を上げた際に、対面に着座している人とすぐコンタクトが取れる位置とも表現できます(ただし、対向式のデスク配置であったとして)。



 やや前傾・やや後傾の場合の座面の角度は、最大でも概ね6°くらいです。この場合、目の高さは7㎝ほど低くなります。モニターへの目線の角度は、前傾なら少し上がり、後傾であれば逆に少し下がります。可能であれば、前後傾姿勢の時にはモニターの角度も調節し、上体の姿勢が自然になるようにしましょう。特に前傾姿勢の場合は、モニター角度が合っていないと猫背姿勢を誘発する可能性があります。



 背面高さが50㎝あるオフィスチェアであれば、チェアは23°の後傾姿勢までサポートできます(20°以上の場合はヘッドレストが必要)。20°の後傾姿勢を取った場合、目の高さは20㎝ほど低くなります。この場合、座面傾きがない着座姿勢に比べると、視野が狭くなる事になります(その分、意識はモニターに集中されます)。目線を上げても対面の着座者とコンタクトが取りづらいため、執務に集中する事になります。長時間のPC作業が必要となる職種のかたにおすすめできる姿勢です。この場合は、背面高さが高いオフィスチェア、可能であればヘッドレストつきのものを用いるようにしましょう。ただし、着座した後方に自分の占有スペースが伸びるため、動線を削る事になる点はご承知おきください。