脚は第2の心臓

 「脚(または足)は第2の心臓」とよくいわれます。直立二足歩行を遂げて、両手の自由と脳の増大化とを得た我々人類ですが、その一方、かえって負担を強いられてしまうようになった臓器が心臓です。心臓はご存じの通り、我々の体に血液を送り出し巡らせる重要なポンプの役割を担っているわけですが、直立化により血液は重力により自然と下半身に溜まるようになってしまいました。人間の心臓は、四足歩行の動物に比べ、より重力に逆らって血液を押し出さなければならなくなったのです。

 脚の筋肉は、歩行による伸縮で、心臓のポンプ機能を補助する事ができます。こういった所以(ゆえん)で、「脚は第2の心臓」といわれるわけなんですね。これを逆にいうと、「脚の血流が悪くなれば、全身の血流にも影響が出る」という事がいえます。体を横にしている時や歩いている時なら、心臓への負担が少なくなるのですが、チェアに座っている時の姿勢はそのどちらとも大きく違うのです。たとえ座面高を適切な高さに合わせても、体重の大半は座面で支える事になります。つまり、臀部と大腿部が、自分の体重で圧迫されるという事です。これにより、チェアの完成度にもよりますが、大小なりとも脚部の血流へ影響が出ます。つまるところ、座面の脚の血流への影響度が、長時間執務におけるチェアの座り心地に直接的に関係する事になります。

座奥(ざおく)調整機能と座り心地

 座奥調整機能が搭載されているチェアのうちでは、調整できるストロークの範囲は40㎜~80㎜で、オカムラ・エルシオチェアの80㎜が別格的に大きいようです。全体としては40㎜~60㎜のものが一般的である傾向にあります。なお、座奥調整を積極的にオフィスチェアに搭載しているか否かについては、メーカーごとに温度差があるように思われます。

 千葉大学小原研究室とオカムラいすの科学研究室が財団法人姿勢研究所の助成により行った共同研究によると、20代の成人男女40名についてそれぞれ最もストレスの少ない快適なチェアのサイズを調査したところ、座面奥行については平均が48.5㎝、データの範囲は43.0㎝~54.0㎝という結果でした。なお、46.0㎝~52㎝の範囲にデータの大半が収まるようです。これにより、座奥調整機能は6.0㎝以上のストロークを持つものが望ましいといえます。



 オフィスチェアの座面は、座奥が長すぎれば膝の裏を圧迫しますし、座奥が短すぎれば大腿部を圧迫します。大腿部への負担の影響は先に述べた通りです。また、膝の裏にはリンパ節が密集しており、ここに負担がかかればリンパ液の循環も停滞する事になります。自分の体に適した座奥に調整できれば、これらの負担は軽減されます。

終わりに

 グレードの高いオフィスチェアであれば座奥調整がついているものかというと必ずしもそうはいえないようで、アーロンチェアはその最たる例といえます。脚部への負担軽減に関して、座奥調整とは異なった切り口で対応しているチェアもあるようです(イトーキ・カシコチェアなど)。



 色々なチェアに試座されるご機会がありました際は、ぜひ膝や太ももの裏への圧を意識してお試しくださいませ。