ヘッドレスト市場概況

 オフィス家具メーカー各社の総合カタログを一通り参照してみると、ヘッドレストを装備したオフィスチェアの価格帯が、大きく二分されている事がわかります。可動式ヘッドレスト込みの本体価格について、20万円前後もしくはそれ以上の一群と、同じく10万円前後もしくはそれ以下のグループです。オフィス家具市場のシェアの約8割を占める、いわゆる四大メーカー(イトーキ・内田洋行・オカムラ・コクヨ)製のヘッドレストつきチェアはいずれもが前者であり、他方、後者はいずれもがそれ以外のメーカー製という事になります。(非四大メーカーも高価格帯のヘッドレストつきチェアを生産販売している事例もあります。)

 

 これは、四大メーカーと非四大メーカーとの販売戦略の違いを表わしていると想像されます。典型的な類例として挙げるなら、アーロンチェアのヘッドレストが分かりやすいのではないでしょうか。アーロンチェアは長い間、純正のヘッドレストが発売されていませんでした。これはアーロンチェアが後傾よりも前傾に力を注がれたチェアだったという事もあるかもしれませんが、アーロンチェアにとってはヘッドレストがあくまで補助的な機能であり、なくても座り心地に一定の完成度を実現できていたためと考えられます。



 日本の四大メーカーがチェア造りに向かう姿勢にも、これに近しいものを感じます。ヘッドレストはないよりもあった方がいいでしょうが、ヘッドレストがなくても座り心地や機能性はある程度まで追究できます。逆にヘッドレストがなくては製品として成立しないチェアがあるかと考えてみると、俄かに思い浮かぶのは「低座・後傾」という斬新なスタイルを打ち出した、オカムラのアトラスチェアやラクソスチェアくらいです。それ以外の四大メーカーのヘッドレストつきチェアは、事前にヘッドレストがないのを前提でひとしきりの研究開発が行われた上で付随されているので、結果として高価格になるのだろうと思われます。



 これを受けて他方、非四大メーカーはその逆を打って、四大メーカーが容易くは実現できない、「低価格のヘッドレストつきチェア」を開発・発売しているものと思われます。低価格ならば品質もそれなりかというと、必ずしもそうではありません。エルゴヒューマンシリーズがこの好例で、市場から一定の評価を得ています。



ヘッドレストの使い方

 ヘッドレストがついているチェアは、必然的に、肩まで背面がサポートしているくらいのハイバックチェアという事になります。よって、ヘッドレストは首から上をサポートする機能になります。人間の頭部の重さは、一般に体重の10%といわれています。通常の執務姿勢であれば頭部の重さを感じる事はあまりありませんが、一定の角度以上にリクライニング姿勢をとった際に、頭部の重さが筋肉に負担をかけるようになります。これを支えるのがヘッドレストです。

 執務の内容にもよりますが、執務中ヘッドレストから頭が浮いている事は珍しくありません。これは、車の運転時にヘッドレストに頭を預けている人が少ない事に似ています。こういった場合のヘッドレストのメリットは、一息つきたい時にすぐリラックス姿勢がとれる点です。その一方、長時間後傾姿勢でディスプレイを注視するような仕事をされるユーザーさまには、ヘッドレストがたいへん有効になります。研究によると、 上体の傾きが20°を超えるとヘッドレストが必要になるといわれています。



終わりに

 ヘッドレストには固定式と可動式とがありますが、ヘッドレストを重視してオフィスチェアをお買い求めの際は、可動式ヘッドレストチェアのご購入を推奨いたします。固定式をお買い入れる場合には、事前に長めの時間を使って色んな姿勢にて試座をされるようにしてください。もちろん、可動式ヘッドレストのチェアの場合も、試座をお勧めいたします。