中国のオフィスチェアメーカー、Confort Seating(聯友椅業)社

 エルゴヒューマン(Ergohuman)シリーズは、Confort Seating(聯友椅業・れんゆういぎょう)社が販売する、メッシュの高機能オフィスチェアシリーズです。聯友椅業の“聯”は、今の日本の漢字にすると“連”になります。「連友椅業」というわけですね。

 聯友椅業社は1996年に台湾から発祥して、現在では中国広東省広州市南沙区および広東省中山市とに拠点を置いています。広州市南沙区の拠点は同社の海外市場向け、中山市拠点は中国国内市場向けとして配備されているようです。

 広州市は中国が定めている国家中心都市(北京・広州・香港・上海・天津・重慶)のひとつで、南沙区は2005年に「国家級経済技術開発区」として設けられています。中山市は辛亥革命の主導者孫文の出身地であり、孫文の号である中山(ちゅうざん)が市名になっています。

 広州市と中山市は互いに隣接しており、経済特区である珠海市や深圳市、特別行政区である香港やマカオとも近隣です。なお、珠海市にはキヤノン(中国では「佳能」)が最新の設備を備えた工場を立地させています。

 聯友椅業社はISO9001およびISO14001を取得し、60,000平米に及ぶ敷地で1,000人以上が生産に携わっています。

エルゴヒューマンの特徴



エルゴヒューマン
エルゴヒューマン


 エルゴヒューマンシリーズについて、次のような評価があるそうです。曰く、「アーロンチェアは背広を着て座る椅子、エルゴは楽な服装で座る椅子。」 この表現には一定の説得力を感じます。というのも、エルゴヒューマンは日本市場よりもむしろ、欧米市場を意識して設計されている印象があるのです。webを“ergohuman”で検索してみるとエルゴヒューマンの販売を行っている英語・フランス語・ポルトガル語などのHPがリストアップされます。

 また製品について具体的にいうと、座面の上下昇降を最下段にしても、座面高が43cmと、標準的な日本人が着座するには若干高いのです。加えて、座背面やランバーサポートなども、販売価格帯と比べると大きめになっています。

 それらの結果として、日本人が使用するには、オフィスでの執務に用いるよりも、自宅でゆったりとくつろぐのに用いる方が向いているという形になっていると思われます。オフィスチェアは前傾特化か後傾特化かのどちらかであるものですが、実際的にチェアの構造や機能の面から見ても、アーロンチェアが前傾特化であるのに対して、エルゴヒューマンは後傾特化であるといえます。

 エルゴヒューマンチェアは台湾の呉耀全(Niel Wu)氏がデザインしています。エルゴヒューマンの発売は2005年であり、これはアーロンチェア発売から10年余りくらいです。メッシュの高機能チェアを開発するにあたって、呉耀全氏が偉大なるアーロンチェアを大いに意識したであろうことは想像に難くありません。その一方でエルゴヒューマンには、従来の世界にはなかった、野心的な試みがいくつか織り込まれています。

 ひとつは、背もたれが上下に分割されていて、それぞれを独立して調節できるという点。分割された下部は、いわゆるランバーサポートとして機能します。分割された上部が背もたれになりますが、これの上下位置が調節できます。背もたれの上下位置調節機能はたいへん珍しく、他の事例としてはSteelcase社のLet'Bチェアがあるくらいです。

 もうひとつがハイブリッドレバーです。1本のレバーで、リクライニング調節・座面昇降調節・座奥調節の3つが操作できます。ちょっとした姿勢変更などに手軽に操作できるのはたいへん便利です。着座したままで座奥調節ができるのも嬉しい点です。



 日本でエルゴヒューマンは「Basic」「PRO」「PRO ottoman」の3種をラインナップしています。いずれもリクライニング固定は4段階となっています。無段階固定が一般化している今日では、少々物足りないかもしれません。

 「PRO」および「PRO ottoman」では座面角度の調節が可能です。いわゆるチルト機能に相当する機能ですが、エルゴヒューマンのこの調節は、レバーやダイヤルではなくボルトを回す形式になっています。操作としてはスマートさに欠けますが、微妙な角度調節ができる点はメリットといえます。

エルゴヒューマンの出荷体制

 エルゴヒューマンシリーズは世界中50ヶ国以上で販売されていて、日本では2005年に発売されています。日本においては関家具が販売総代理店を務め、公式サイトを運営しています。関家具はJOIFA会員であり、エルゴヒューマンシリーズもこれに準じます。

 日本で販売されるエルゴヒューマンにはJOIFAシールが貼られており、8年間以上の耐用を想定して作られています。日本向けのエルゴヒューマンシリーズは、他国に流通するものとは異なるラインで生産されているとの事です。

 無償保証期間については他JOIFA会員製品と同様に、最大で3年になります。通常の使用環境下において、購入日から起算して、外観・表面仕上げ(塗装および樹脂部分の変色退色、座背面のなど磨耗など)については1年保証、可動部(昇降機構など)の故障については2年保証、強度構造体の故障については3年保証となります。

 なお日本におけるエルゴヒューマンシリーズの唯一の特約店として、株式会社オフィックスが挙げられます。日本正規品への保証対応は関家具およびオフィックスが行っています。

 エルゴヒューマンシリーズを新品で購入した場合、組み立てを購入者が行う場合があります。作業は容易であるようですが、念のため2名で組み立てを行なった方が安全かと思われます。また、販売店によっては組み立てを依頼できる事例もありますし、特約店であるオフィックスに至っては組み立てた状態での出荷が基本になっています。

 組み立てを購入者で行う場合には工具も同梱されますが、これが少々使いづらいという評判も耳にします。可能であれば、組立て完成品を取り寄せる形が無難でしょう。

エルゴヒューマンの耐久性

 エルゴヒューマンシリーズの耐久性について、マイナスの評判も散見されます。特に発売されて間もない初期ロットの頃には、重篤な破損も起こったようですが、その後、耐久性への対策がされています(具体的には、該当箇所の固定ボルトを大きくして数を増やしたとの事)。

 エルゴヒューマンの出荷体制は、基本的には購入者組み立てを前提とした、部材状態の送りつけです。ユーザーサイドからはこれに関して、チェアの耐久性を疑問視する声もあります。ただし、日本の主要メーカー製品で、似た体制での出荷が行われている事例もあります(部材状態で出荷し、納入現場で業者による組み立て)。

 メーカー・ブランドともに比較的新参であるため、商品やサフターサポートに関する市場からの信頼性は、発展の途上にあるようです。

おわりに

 “ergohuman”というキーワードを使って色々とweb検索をしてみると、驚嘆するほど世界中のあちこちから記事や動画がリストアップされてきます。世界中に発売されて7年、市場にはエルゴヒューマンシリーズが一定以上に浸透しているようです。購入者組立て方式を取るによって梱包容量を減らし、流通力を高めると同時にコストも下げています。

 エルゴヒューマンのこの人気には、エルゴヒューマンというダークホースへの、市場からのある種の期待が感じられます。

 世界市場のダークホース、エルゴヒューマンチェア。量販店などでお見かけする機会も少なからずあるかと思います。その際はぜひお試しくださいませ、今までの常識では思いもよらない座り心地が迎えてくれると思います。

 もし気に入っていただけたなら、これほどお買い得のチェアはそうそうありません。