もし、よいチェアとよいチェアとを合成したら…?

 メーカーの製品開発は毎回白紙から始められるものではなく、例えば、それまでの作品たちのよいところをエッセンスとして抽出し、それらを合成するところからスタートしているケースもあるのではないでしょうか。Fosterに着座した際、そんな思いが脳裏をかすめました。

 今回はコクヨのメッシュチェア、優美なフォルムのFosterをご紹介します。

Fosterの周辺情報

先に、Fosterにまつわる周辺の情報に触れておきましょう。



グッドデザイン賞受賞

2006年 Foster

2009年 FosterCARINO





Fosterの意味:



1 育てる、養育する、世話する

2〈…を〉育成[促進、助長]する

3〈希望などを〉心にいだく



【語源】古期英語「食物(を与える)」から





価格帯を見ると、概ねAGATA/AとAGATA/Sの中間あたりに位置しています。

Fosterの標準装備

Foster・FosterCARINO・FosterETHOSの標準機能



・FSシンクロロッキング

 ロッキング(リクライニング)の際、背面と座面の角度が連動します。

 かつ、リクライニングの支点が座面前辺(FS:フロントサポート)であるため、

 自然な姿勢で後傾できます。



・ロッキングの強さ調節

 リクライニングのテンションを調節できます。

 調節は座面右下のグリップダイアルで行いますが、

 このグリップがたいへん握りやすい位置と形をしていて、

 スムーズにダイアルできます。



・座面高さ調節

・座面奥行き調節



・オプションで可動肘を選択可能



・ランバーサポート(オプション)

 背面メッシュの裏側にランバーサポートを装着できます。

 上下位置の調節とサポートのテンションの2段階調節ができます。

(FosterETHOSは上下位置の調節のみ)





以上がFosterシリーズに関する、標準的な情報全般になります。

Foster最大の特徴、二重フレームと3Dフィット

 ではここで、Fosterに関して特筆したい点を2点挙げます。このふたつが、本稿の冒頭で触れた、ある種の既視感に繋がっていると思われます。ひとつはFoster背面フレームの二重構造、もうひとつはFoster独特の機能である「3Dフィット」です。このふたつは密接に関係しています。



 Fosterの背面フレームは、大小2種類のフレームが組み合わさった形になっています。大きな方のフレームは真横から見ると、美しい曲線を描きつつも何度もジグザグしています。Wの字をもう1回折り伸ばしたような形です。一方小さな方のフレームはシンプルなL字で、大きなフレームの上から被さって、座面と背面とが描くL型をサポートしています。



 3Dフィットについて、コクヨは次のように紹介しています。

「執務中の人は絶えず様々な動きをしています。

 Fosterは身体のあらゆる動作に対して柔軟にかつしなやかに

 背もたれを変化させて立体的な動きに追従します。

 背もたれは腰より上の部分が左右独立して後傾することで、

 3次元的に身体の動きに追従する3Dフィット構造を採用。

 身体の動きに応じて背もたれ面が立体的に動くので、

 もたれたり、振り向いたり、手を伸ばしたり、

 どんなときでも身体の動きを拘束せず、

 柔軟性のあるフィット感が得られます。」



この3Dフィットを実現させているのが、先に述べたフレームの二重構造というわけです。ジグザグを描く大フレームが背面全体をスプリング状にカバーしているため柔軟で自由度の高い動きが取れ、かつ、小フレームが腰部まわりとチェア本体とをしっかり支持しています。下部が充分に固定されているからこそ、上部を左右にひねる動きも可能になるわけです。

 



 ここで思い出されたのが、二重フレームを持つAGATA/Aと、廃盤品ではありますが、背中を左右にひねられる「ダイナモーション機構」を備えていたダイナフィットFでした。特にダイナフィットFに関しては、コクヨのカタログ上でも現行のダイナフィットは「クラシックライン」に分類されるほど歴史のあるチェアであり、その時期にひねりの動きを搭載したという事は、コクヨにとっても野心作だったはずです。

 AGATA/Aで到達した二重フレーム。その応用が、3Dフィットを可能にしました。長年コクヨが胸に抱いていた志が思われます。(なお、FosterCARINOおよびFosterETHOSはFosterの廉価版といえるシリーズで、3Dフィットが搭載されていません。)

おわりに

Fosterは国産品でも屈指の美しい曲線を備えたチェアです。

ご覧になる機会がありましたら、ぜひ一度ご試座ください。