独創イトーキの最上位・スピーナチェア



スピーナチェア
スピーナチェア


 2012年度現在で、イトーキ製オフィスチェアの最上位に位置するのが、今回ご紹介しますスピーナチェアです。“スピーナ(spina)”は“背骨”を意味しています。



 イトーキのチェア造りは独創的と評される事が多い傾向がありますが、これはスピーナチェアに関しても例外ではありません。2007年グッドデザイン賞を受賞しているスピーナチェアの外観上の最大の特徴は、ゴムと樹脂の中間といわれる素材・エラストマーを用いた大胆な縦リブ構造の背面です。しかし高価格帯オフィスチェアとしての最大の特徴はといえば、端的に、座面奥行調節機能(座奥調節)がない点です。

 他メーカーの総合カタログを参照してみても、オフィスチェアのトップを飾っているシリーズたちは、どれもみな座奥調節を標準装備しています。また、同じくイトーキの総合カタログでも、スピーナに続くヴェント・コセール・エフ・エピオスは、座奥調節ができる仕様になっています。座奥調節は一見地味ながら、オフィスチェアの座り心地を左右する重要な機能です。これを削っているのは、非常に思い切った設計であるといえます。イトーキの独創性が端的に表われているといえましょう。



スピーナの実力と性能

 なぜその重要な機能が、イトーキ最上位であるスピーナチェアに備わっていないのかといえば、スピーナに実装されている「パッシブ・スライド・シート(P.S.S)機構」および「アクティブ・ランバー・サポート(A.L.S)機構」を活かすためと考えられます。スピーナチェアは着座した際の座面への荷重に比例してランバーサポートが前にせり出す、という機構を備えています。この複雑な機構が、現時点では座奥調節と同居させられなかったという事と思われます。

 翻っていいますと、スピーナチェアのランバーサポート機能は一般的なオフィスチェアのそれとは異なり、ランバーサポートと座奥調節とを兼ね備えたものであるとも表現できます。着座の荷重に応じてランバーサポートが前にせり出すと、着座のストロークはそれだけ短くなります。浅く着座してもP.S.S機構とA.L.S機構の両機構は働くようになっています。

 

 着座荷重に応じて座面が自在にたわむ「フロート・ベンディングシート(F.B.S)」はイトーキのお家芸としてお馴染みですが、スピーナは従来製品のF.B.Sよりスイートスポットが前方に100㎜拡大しています。これも、浅い着座への対応でしょう。さらに、エラストマーを用いた背面の縦リブ構造も、従来のオフィスチェアより柔軟性に富んだ背面を用いる事で、ランバーサポートの働きを促しているようです。



 「フロート・ベンディング」「パッシブ・スライド・シート」「アクティブ・ランバー・サポート」、これらの機構が高い次元で一体となっているのがスピーナです。まさしく、イトーキのチェア造りの結晶といえるでしょう。



終わりに

 高価格帯のオフィスチェアといえば、さまざまな調節を用いて、ユーザーさま個々人の体格に合わせたカスタマイズができるのが普通です。その点スピーナは、着座によってある程度自動に調節がされる造りになっていて、その分ユーザーさまが行う調節は簡素で済むようになっています。



 イトーキ渾身のスピーナを、ぜひ一度お試しくださいませ。