ダイナフィットとはひとつのチェアではありません。

 今回はコクヨのクラシックラインから、往年の主要シリーズでありましたオフィスチェア、ダイナフィットシリーズをご紹介します。

 これまでコクヨがダイナフィットの名を冠させて送り出したシリーズは以下の通りです。



・ダイナフィット

・ダイナフィット2

・ダイナフィットF

※ダイナフィットエクサージュ



 このうち、現行品はダイナフィット2とエクサージュになります。無印ダイナフィットとダイナフィットFは廃盤品となっています。

 なおエクサージュに関しましては、取扱説明書には「ダイナフィットチェアー エクサージュシリーズ」と記載がありますが、コクヨのカタログ上では単に「エクサージュ」として掲載されています。エクサージュシリーズは2001年にグッドデザイン賞を受賞しているため、区別のためダイナフィットの名称を除いて掲載しているのだと思われます。

幻の名作チェア・ダイナフィットF

 残念ながら廃盤になってしまいましたが、ダイナフィットFはたいへん面白いチェアでした。



 現行品ダイナフィット2およびエクサージュが持っているリクライニング機構はFS(フロントサポート)背座角度連動という仕組みで、「座面前方部を支点として、座面と背面が連動して沈み込む」事により、自然な姿勢でリクライニングができる、というものです。同様の機構は、コクヨの他シリーズや他社製品の同価格帯製品を見渡しても、必ずしも珍しくはありません。

 これに対しダイナフィットFシリーズには、その名も「ダイナモーション機構(背座連動機構)」という仕組みを備えていました。これはすごいです。「姿勢の重心バランスに従って背面と座面が連動する」「内蔵ランバーサポートがリクライニング角度によって自動調節される」「リクライニング角度に応じて座面が前にスライドする」、とここまではしばしば目にされる機能です。すごいのはこの次で、「ベンディング(曲げ)機能により、体のひねりなどのあらゆる動きに応じて背面が曲がり、姿勢と動きを柔軟にサポートする」。これは今でもなかなかない機能です。チェアに背もたれて座ったまま、体をひねって後ろを向く、という動きもできるわけです。今でも珍しいくらいですから、当時としては斬新だったはずです。「ダイナモーション」の名前を考えると、コクヨはまさしくこのような機能を持つダイナフィットチェアを目指していたのではないでしょうか。

 
 なぜダイナフィットFが廃盤になってしまったかと考えると、答えは恐らくメンテナンス性による流通力・普及力です。ダイナフィット2やエクサージュは、座面背面の取り外しが簡便で、新品の座背面との交換が容易です。エクサージュに至っては座背面カバーの取り外し・洗濯・被せ・取りつけまでユーザーさまで行えるレベルです。ダイナフィットFは、汚れても表面を拭くくらいしかできなかったのです。複雑な機構を持っていたため、メンテナンス性が犠牲になってしまった形だったのでしょう。

おわりに

 ダイナフィット2は、必要十分な機能を漏れなく備えた、極めて標準的なチェアです。コクヨの長いチェア造りの歴史において、現代なお現役である本製品、ご機会ありましたらぜひご試座くださいませ。