シンプルさと機能美と

 エミリオ=アンバス(EMILIO AMBASZ:数多くのデザインパテントを持つ国際的デザイナー)のデザインによる“機能美を極めたシンプル”“シンプルを極めた機能美”と呼べる逸品が、今回ご紹介します、イトーキ製バーテブラ(Vertebra)シリーズです。ちなみにvertebraは脊椎骨を意味します。

 座面と背面を繋ぐ2本の柱はスプリング状で、自在にしなります。試座されるご機会がありました際は、ぜひ座ったままで大きく伸びをしてみてください。このスプリングの心地よさが、バーテブラの最大の特徴です。

立ち上がる時の体の動きまで織り込まれているバーテブラ

 背面にもたれかかると、座面はこれに連動して前方にスライドします。これによりユーザーさまの腰に圧迫感を与えず、常に姿勢をサポートし、執務に合わせたスムーズな動きが可能です。また、体重を前に移動させると、座面は最大6°まで前方に傾斜し、正しい姿勢を保持できます。なお、着座状態から立ち上がろうとすると、体の重心は前に移動します。そのためバーテブラチェアは、立とうとすると座面が自然と前傾します。立つ時の動きが織り込まれているチェアは、バーテブラが開発されていた時代には珍しかったのではないでしょうか。

 ノーマルのパーテブラは座面背面ともに、薄いクッションを使っています。では座り心地がよくないのかというと、そういうわけではありません。全体的なスプリング構造が、薄いクッションのバーテブラに、一定の座り心地を生んでいます。レバー操作は座面の高さ調節のみというのも、潔いまでシンプルさを追求しています。

しなやかな心地はカスタマイズできない

 最近の流行としては、座面の高さ・リクライニングロッキング位置・リクライニングテンションなど、“座る”事に伴ってチェアに様々に発生する機能を自分好みに調節できるチェアが主流です。その点、シンプルなバーテブラは流行の真逆を行っているといえます。自分の体に合わせてチェアをカスタマイズしたいユーザーさまには不向きなチェアかもしれません。ですが、冒頭でも述べました、背伸びの心地よさは格別なものです。
 背面の角度には「事務用」と「オペレーター・作業用」の2種類があります。後者の背面は直立に近く、前傾執務時にもユーザーさまの背面をサポートし、疲労を軽減します。キャスターはナイロン製の双輪タイプが標準仕様ですが、ゴム単輪仕様やウレタン双輪仕様も特注品として存在します。

 また、クッションが薄いバーテブラですが、薄いならではのメリットがあります。チェアを丸ごと水洗いしても、クッションの乾燥が速いのです。水洗いができるというのは、オフィスチェアとして大きなポイントといえます。ここにもシンプルさが活きています。

おわりに

 バーテブラは中古市場でも比較的よく流通しています。お見かけの際は、ぜひ一度、座り心地を試座されてみてください。